7月初めに起こった北朝鮮によるミサイル発射が、東アジア地域における安全保障に対する脅威であるとの声明を出してアセアン地域フォーラムが終わりましたね。
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20060728AT2M2802628072006.html
で、ちょっとここで σ(`・・´ ) 個人の「お勉強」の為にアセアン地域フォーラムって何?って事で早速にググッて見ましたら外務省のサイトで詳しい説明がありました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/asean/arf/gaiyo.html
・・なるほど。アセアンが東南アジア地域の経済・政治的統合を目指す集まりであるのに対して「地域の安全保障問題について協議する場」がアセアン地域フォーラムという次第なんですね。ここ読みますと。
この話し合いの場の特色を簡潔にまとめた部分がありますので、一部引用させていただきますと・・
* コンセンサスを原則とし、自由な意見交換を重視する。
* (1)信頼醸成の促進、(2)予防外交の進展、(3)紛争へのアプローチの充実、という三段階のアプローチを設定して漸進的な進展を目指している。
・・との事ですな。 σ(`・・´ ) が昔、大学生の頃に所属していたゼミナールが「国際政治と国際協力体制論」だったのですけど、その中で「平和学」というのがございまして信頼醸成→(紛争発生に対する)予防外交→紛争解決の為のアプローチと言うプロセスを辿る事を学んだ記憶があったのですけど、正にそれを実践していると言う事なんですね。
東南アジアでも東ティモール紛争や、インドネシア、カンボジア、ミャンマー独裁政権の問題、フィリピンの共産ゲリラとイスラム原理主義によるテロ・・まあ結構色々と問題はあるものの国家同士の武力衝突もなくやってこれたのはアセアン参加国の自助努力と言う物なのでしょう。
勉強させていただきましたよ。ありがとう!外務省 ♪♪♪ d(`Д´)b♪♪♪サンキュ
で、今回のこの会合では北朝鮮問題が最大の議題でありロシアを除く例の「6カ国協議当事国」の外相連が全て集まるので注目された訳ですが、これまた相変わらず主役の北朝鮮とアメリカの間での2国間協議もなく、更には北朝鮮を除いた全ての国が北朝鮮の行為に対して「懸念」を表明すると言うと言う事で終わったのも周知の通りです。
しかし、このアセアン地域フォーラムに北朝鮮が参加していたとは不勉強でしたね σ(`・・´ ) は。
で、当の北朝鮮側としては声明に対してフォーラムからの脱退を示唆すると言う始末。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/korea/12585/
そうですね・・・東南アジア方面の安全保障問題には直接関係のない北朝鮮ですからね。ここを脱退するくらいならばさほどの痛手ではないのかも知れません。
ただ、東南アジア諸国・・聞くところによりますとタイ南部やカンボジア、ベトナムあたりに北朝鮮系の企業が入り込んで商売しつつも経済・軍事情報を集めていると聞きますからこういう集まりから自ら撤退すると言うのは自ら「マーケットへの門戸を閉ざす」に等しい行為となるでしょうから、実際の脱退はどうかな?とは思いますが。
それでもなお、現実的にそういう状況になったにしても痛痒はあまり感じないのでは?とも同時に思います。と、言いますのは東南アジアでも北朝鮮の「アングラ・ビジネス」は展開されており、その下請けになっているのは韓国、日本、台湾系のマフィア連。麻薬、偽札、偽タバコの売り上げの一部をコミッションとして与えているのでしょうから、「その筋」から情報はいくらも集まるでしょうからね。
ところで今週になって「血の友誼」で固められた中国と北朝鮮の仲が怪しいと言う報道も出てきましたね。
北朝鮮の安全保障問題に最も影響力を持つと呼ばれた中国を、実は北朝鮮側も信用していないという内容ですが。
で、ついでではありますがこれに絡む問題で面白い論文、と申しますかレポートを発表している日本国際問題研究所と言う団体から「中国の北朝鮮に対する影響力」と題したレポートを見つけまして思わずじっくりと読み込んでしまいました。
これですが。
http://www2.jiia.or.jp/attachments/column/20060721miyamoto.html
・・・・で、どーでしょう?読まれましたか?(笑)
なかなか面白い内容です。
結論を先に言ってしまうと北朝鮮と中国、そして韓国と中国との間での「貿易と対外投資金額」を比較してどちらがより密接な関係を築いているか?と言う比較なんですが、中国から見れば韓国との関係の方が北朝鮮よりも大事であると言う結論です。
特に中国側からの対外投資金額の比較を見ると一目瞭然ですが、対北朝鮮投資額1,036万ドルに対して対韓国投資額30,249万ドル。格差としては2億9213万ドル生じている訳ですね。
経済面での結びつきは中国と韓国の関係の方がはるかに強い訳で、なるほどこれならば中国が今回のミサイル発射で神経を尖らすのも無理はないなと思った次第です。
単純に6カ国協議議長国であり、アメリカとの仲介の労を取った事を徒労に終わらせられた事で面子を潰された事で単純に腹を立てていると言う事ではないのですね。
そこにはきっちりと「損得勘定」があった訳ですな。
無論、面子を潰された事に対する不快感もあるでしょうがそれよりはやはり「ビジネス優先」でものを考える・・つまりはこういう面からも北朝鮮での問題はなるべく穏当無事に済ませたいと言う思惑があるようです。
中国の対北朝鮮貿易は一貫して「赤字」の関係が続いてます。北朝鮮へ出入りする個人レヴェルの商売人は儲かっているのかも知れませんが、マクロで見ると「赤字」。
で、中国側からの合弁事業とか援助と言うのがありますがそれらを打ち切るのは経済制裁になりえるかも知れませんが、それでミサイルや核開発を諦めるかと言うとさにあらず・・と言うのも面白いですね。
それは何故か?と言いますと「先軍政治」と言う思想による国内統治です。
中国型の経済改革を・・と言う事で中国や北朝鮮内部の「改革派」は期待しているようですが、軍部そしてかの将軍様の考えとしては経済的利益よりもまず「安全保障」を確保するのが最優先である、と言う考えですな。
もっと端的に申しますと「飯を食う事」が最優先の中国と、「安心感がなにより優先」と言う北朝鮮と言う違いがあります。
なんだか観念論ばかり先に来ている感じがしますけど、生物としてどちらがより自然なあり方かと申せばそれは「中国」の方でしょうね。数千年にわたって国家の興亡と戦乱、飢饉を繰り返し経験した国の事だけあって何よりもまず「食う事優先」(笑)
即物性が強い・・とも言えますがね。それが良い悪いと言うわけでは勿論ありません。
今時、食うためには「商売」しなければなりません。自国の領域の中だけで全てをまかなえる事はどこの国でも不可能なので外国との通商が必要な訳ですが、中国は30年ちかくかけてこれを推進してきた訳です。北朝鮮はちょうどその逆を行ったという「差」がありますよね。中国は自分の主張もしつつも、資本主義国家とそれなりに付き合いの関係を作ってますが、北朝鮮にはそれがない。だからかろうじてしか飯が食えない状態です。
「血の友誼」も大事かも知れないが、「寄食だけの存在」とはお付き合いするメリットがあまりないと言うのが中国の本音?なのでしょうかね。
「先軍政治」と言う考え方で思い出すのはこれまた司馬遼太郎先生の作品で有名な『竜馬が行く』でも描写されていた長州藩の動きですね。
あくまで幕府を武力で制圧すると言う考えであった長州・薩摩藩でしたが当時、「大政奉還」を建言していた土佐藩・・当然、ここに例の坂本龍馬と言う黒幕がいた訳ですが、外国の貿易商からしきりに買い込んだ銃器、艦船の支払いと言う過大な負担があった訳で戦争しないと「損になる」と言う状態があった訳です。
これと似てますが、「先軍政治」と言う考え方は常に北朝鮮にとって「戦う相手」がいなければ成り立たない話です。そこで格好の敵になりえるのが「日本」だと言うのでしょうね。
やはりですね・・日本政府ははっきりとは言いませんが、北朝鮮を名指しで「仮想敵国」とはまだ言ってませんが充分にそういう認識はしていると思いますよ。
「敵地攻撃もやむなし」みたいな議論が出たようですが、これなどもその表れかも。
ただ、現憲法としては外交の究極の解決策としての「戦争行為は永久にこれを放棄する」とうたってしまってますからね。
もう、こうなってくると目的遂行の為には包囲のネットワークを構築していく他ありゃしません。
ミサイルを含めた兵器ビジネスはともかく、偽札・偽タバコ・覚醒剤・密貿易などに関しては各国との連携を強化する事で何とかなるかも知れません。
日本の外交力が問われているのでしょうけど・・意思決定をするトップが交代しなければこの問題もままならないかもね(笑)
何にせよ、数字の上で見てもいかに北朝鮮が「危うい」かが良く理解できる資料でしたね。一読をおススメしておきますですよ。
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